Technical guide
HOME > 技術ガイド > 点検及び補修
チェーンを長時間使用しますと、各部に摩耗が発生し、摩耗の程度に応じて使用限度が定まります。
寿命に影響する各部の摩耗としてリンクプレートの摩耗、ピンとブシュ内面の摩耗、ローラの摩耗、ピーチ伸び、スプロケットの摩耗があります。
1) リンクプレート摩耗 | |
---|---|
リンクプレートは搬送物による下面とケース間の接触による摩耗、リンクプレート間の摩耗、リンク内面とローラ側面との接触による摩耗が発生します。 |
2) ピンとブシュ内径の磨耗 | |
---|---|
チェーンとホイールがかみ合うと屈曲運動が発生し、長時間使用するとピンとブシュ内径の接動部摩耗によりピッチが伸びてチェーン全体が長くなります。 |
3) ローラの磨耗 | |
---|---|
ローラー外径の摩耗は他の部品に比べて性能上大きな 影響はありませんがRローラもしくはFローラの場合は 触軌面及びブシュとの摺動部の摩耗によって、プレートの 下面がレールに当たり始める時をもって限界とします。 プレートがレールに当たり始めるとピンとブシュの 摩耗が促進されるだけでなく、摩擦抵抗が増加し、 チェーンの張力増大、駆動部の出力不足等の原因になります。 Sローラの使用限界は、スプロケットとの円滑なかみ合い状態でローラにホールが発生し、割れるまでです。 |
4) ピッチの伸び | |
---|---|
チェーンがスプロケットとかみ合ったり、レールが屈曲運転をする時、ピンとブシュの摺動による摩耗が起こりチェーンピッチが伸びます。 チェーンの伸びの限度はチェーンサイズの1~2%です。 チェーン長さの伸び率は、左図に示すように張力を加えた状態で4リンク以上の偶数リンクを測定します。 |
5)スプロケットの摩耗 | |
---|---|
スプロケットの歯部の摩耗は下図のように、かみ合いやチェーンとの抜け出し状態が悪くなりチェーンの振動の原因となります。 この場合、摩耗部をグラインディングした後に肉盛溶接したり、スプロケットを逆に組み立てて使用することができます。 スプロケットの歯底摩耗量はチェーンの速度に比例し、使用限界はコンベヤの形式やチェーンのサイズによって多少の違いはありますが一般的に3~6mmまで摩耗すれば修正したり取替えしたりします。 参考:肉盛溶接棒はDF2B-Bの規格の中から溶着金属の硬度がHV350~HV600の製品を摩耗状態に従って選定してください。 また摩耗量が多く基礎溶接が必要な場合はD4316の溶接棒を使用してください。 |
コンベヤチェーンは張り過ぎてもたるみ過ぎても運転がうまくできません。 特にたるみ現象がひどい場合はチェーンがスプロケットの歯に乗り上げたりレールとの干渉によって事故が発生しかねないので適時ごとに点検し、調整してください。
点検回数(1日8時間稼動の基準) | ||
---|---|---|
運転開始後1週間以内 | 毎日1回 | 一般的な使用時のものであり,連続運転,反復荷重や高熱,腐食などの劣悪な状況で使用する際は,点検回数を増やしてください。 |
運転開始後1ヶ月以内 | 毎週1回 | |
1ヶ月経過後 | 毎月2回 |
張りの調整ポイント | |
---|---|
チェーンがスプロケットからスムーズに抜けるようにすること。 チェーンやエプロンなどがフレームやレールに干渉しないように十分な空間を確保すること。 サージングを起こさないようにすること。 |
|
水平フローコンベヤ | δ = 1/10L ~ 1/20L |
起動、停止を頻繁に行う時 チェーン速度が速い場合(25m/min) チェーン重量やチェーンサイズの大きい場合 高温搬送物の場合 |
δ = 1/15L~ 1/25L |
スプロケットの取付精度はコンベヤチェーンの寿命に大きな影響を与えます。
取り付け時に正確に設置されたとしても稼働中の振動、地盤の沈下等により取付状態が変動する場合があります。このような影響によりスプロケット側面摩耗及びチェーン損傷現象が発生します。
軸の水平度など、取付け要領は当社までご相談ください、
チェーンの寿命を延長するためには、給油を定期的に 実施することが何よりも重要です。 しかし、チェーンが輸送物の中に埋まっている場合(粉 粒体等)には避けなければならず、エプロンコンベヤな どに粉粒体を搬送する時のようにチェーンに輸送物と 接触して付着される場合にはこれを考慮して、適正な 潤滑の有無方法を選定しなければなりません。
給油箇所:ピンとブシュの間、ブシュとローラの間、リンクとリンクの間
潤滑油の種類: SAE30(-10 °C~0 °C) ,SAE40(0 °C~40 °C)
給油間隔: 一週間に1回程度
給油方法: 滴下又は塗布